4月の診療予定のお知らせ

Information on scheduled medical treatment in April 2020

通常通り木曜日と日曜日が休診日になりますが、4月30日(木)は診療いたします

4月といえば、新学期、新入生、入学式、入社式がイメージされますが、今年はどうなるのでしょうか?

新型コロナ対策によることは言うまでもありません。

そこで、新型コロナ対策について再考してみました。

新型コロナ基本対策について

図1

ところで、私たちの臨床の感染予防の対策は、CDCのスタンダードプリコーションで行われています。このことは、医療関係者の共通認識です。

先日、厚生労働省から発表された新型コロナウイルス感染症対策の基本方針と示された図(図1)は、CDCのパンデミックインフルエンザを防ぐためのコミュニティ緩和ガイドラインに準拠して作成されたものと考えられます。

医療関係における感染予防のガイドラインがCDCのガイドラインに準拠して作成されたものを採用しているのと同様に厚生労働省の新型インフルエンザ発生時の対策ガイドラインもCDCのガイドラインを準拠して作成していると想像できます。

図2

出典:Community Mitigation Guidelines to Prevent Pandemic Influenza — United States, 2017

出典:After ‘Flatten the Curve’, we must now ‘Stop the Spread’. Here’s what that means

先日の安倍総理大臣の英断による学校の閉鎖等の要望もガイドラインに沿って粛々と行われています。

CDC緩和ガイドライン

CDCのパンデミックインフルエンザを防ぐためのコミュニティ緩和ガイドラインについてですが、文頭にこんな一文があります。

”When a novel influenza A virus with pandemic potential emerges, nonpharmaceutical interventions (NPIs) often are the most readily available interventions to help slow transmission of the virus in communities, which is especially important before a pandemic vaccine becomes widely available.”

出典:Community Mitigation Guidelines to Prevent Pandemic Influenza — United States, 2017

パンデミックの可能性を秘めた新型インフルエンザAウイルスが出現すると、非医薬品介入(NPI)がコミュニティでのウイルスの伝播を遅らせる最も容易に利用できる介入であることがよくあります。これは、パンデミックワクチンが広く利用可能になる前に特に重要です。

非医薬品介入とは、ウイルスに対するワクチンがない時に、安倍首相が打ち出した学校の閉鎖の要望や、自発的な自宅隔離、咳エチケット、手指衛生、集団集会の延期またはキャンセル等のことです。

このことは、1918年のスペイン風邪の教訓から学ばれたものと思われます。

1918年スペインかぜ

図3

出典:Public health interventions and epidemic intensity during the 1918 influenza pandemic

 図3に非医薬品介入をしたセントルイスとしなかったフィラデルフィアの比較を示します。結果については言うまでもありません。明らかに致死率が違います。致死率が高いという事は、罹患した人も多いと考えるのが妥当です。

非医薬品介入をすれば明らかに急激な感染者の増加が抑えられる事は明白です。

感染者の増加は?

図4

感染者の増加は、図4に示すように基本再生度数に左右されます。WHOの発表では1.4〜2.5なので、例えば2だとすると対策を何もしないと指数関数的に増える訳ですが、日本の患者さんの増加を見る限りでは、今のところ2より少ないと思われます。

その理由は、環境因子を早期介入によりコントロールしたため、感染者数が爆発的に増加していないからです。

感染者との接触強度、接触回数や接触時間を減らし、手洗いを徹底することで感染率が低下することは、すでに国民の共通認識であり、これらの行為を政府指導のもと国民で行なっているので感染者が急激に増えないと思われます。

皮肉にも、そのことは、今年はインフルエンザの発症が少ないことが証明しています。

介入は早いほどよい!

図5

出典:What Worked in 1918-1919?

 図5は介入が遅いほど死者数が多くなることを示しています。逆に言えば、介入が早ければ早いほど死者数は低くなります。

図6

出典:What Worked in 1918-1919?

図6はデンバーの死亡率を時系列に示した図ですが、デンバーは、公共の集会の禁止が解除され、学校閉鎖が一時的に解除された後に、死亡率はまた反転して増加しています。

これを見る限りでは、学校閉鎖や集会の禁止はしておいた方が良いと言う事が考えられます。

まとめ

出典:After ‘Flatten the Curve’, we must now ‘Stop the Spread’. Here’s what that means

厚生労働省の新型コロナ対策は今のところ功を奏しています。政府のシナリオは、コロナの感染対策に関しては成功している様に思われます。理由ついては、諸外国の状態を見れば言うまでもありません。

新型インフルエンザや新型と名前がつく物は、ワクチンがありませんので、非医薬品介入しか対策がありません。やはり、私たちは、歴史から学ぶ必要があるようです。

100年前のスペインかぜの時の対策は十分に参考になるかもしれません。何せ、当時は、PCR検査などもなく、非医薬品介入しかできなかったからです。

ワクチンができるまでは、100年前と同様な非医薬品介入で対処し医療崩壊を起こさないようにしなければなりません。

入学式等については、中止を発表している大学もありますが、文科省からの発表はまだありません。

専門家会議が開かれ、それに伴って政府から入学式等についてどうすべきかまたこれからの指針の発表があると思われます。

兎にも角にも、私たちのするべきことは感染を拡散しない行動をとることだと思います。


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