5月の診療予定のお知らせ

緊急事態宣言下の診療について

 通常通り木曜日と日曜日が休診日になります。  

緊急性のある処置必要性がある処置は変更なく行う予定ですが、診療は縮小して行います緊急性を要さないリコール等変更をお願いします。

治療に関してのご質問等がある場合は、受付までご連絡ください。

緊急事態宣言下での診療モードについて詳しくはこちらをご覧ください。


全国に緊急事態宣言!

4月15日に、北海道大学の西浦教授が、不要不急の外出自粛などの行動制限を全くとらなかった場合は、流行収束までに国内で約42万人が感染によって死亡するとセンセーショナルな情報を示しました。さらに、4月16日に全国的に緊急事態宣言がされました。4月16日にはテレビ報道で外出自粛措置が2022年まで続くとの報道もありました。

嬉しいニュースが全くない中、外出自粛が2022年まで続く報道がすごく気になり、ちょっとその報道のソースを調べてみました。

ソースはScience

AAAS(American Association for the Advancement of Science)から出版されているScienceの中のCOVID-19に関するコンテンツに掲載されていました。以前も触れましたが、今はどの学会誌もCOVID-19に関する情報はアクセスフリーになっています。

論文の題名は『Projecting the transmission dynamics of SARS-CoV-2 through the postpandemic period』でした。

内容は、今のままで有効な治療薬等が開発されないと2022年まで外出自粛が続く可能性があるというものでした。また、収束しても2024年までに流行が再発する可能性があると指摘していました。

さらに、流行の再燃が秋から冬にかけて起こると、インフルエンザ等があるためオーバーシュートは避けられず、医療崩壊の可能性があるとしていました。

収束してもまた再燃する!

この論文を見る限りでは、無期限にソーシャルディスタンスを行わないと必ず第二波の流行のピークが現れるとしていました。

ほとんどの人が思っていることですが、80%の自粛を行って収束の方向に向かってもウイルスが完全に消滅する訳ではないので、やはり論文の考察と同様なことが起こると思われます。

最後に、SARS-CoV-2に対する免疫の範囲と期間を決定するには、長期的な血清学的研究が緊急に必要であり、再発の可能性を予測するために、今後数年間は疫学的監視を維持する必要がありとしていました。

オピニオン

医薬品の介入が行われるまでは、科学的なデータを基に政治的にベストな対策を行ってもらい、国民が一致団結して社会距離戦略(Social distancing)を行えば収束は可能になるはずです。

ところが、医薬品介入が行われるまでは、国民の何十%かが感染して免疫ができるまでは再燃は必ず起こり、さらに、交通機関が発達したが故に、地球のどこかで新型コロナウイルスが燻れば、強固な締め付けによる封じ込めを行わない限り、またすぐにアウトブレークすることは想像に難しくありません。

さらに、この論文の考察が適切なら、最低でも2022年まで自粛していないとなりません。当然の如く来年に延期されたオリンピックは開催できません。ただし、医薬品の介入がなされれば話は別になりますが・・・

しかし、ワクチンの開発には少なくとも18ヶ月はかかると言われています。

私たちは、否が応でも、新型コロナウイルスと共存していく道を選択することになります。

理由は、

今回の緊急事態で自粛して収束してもまた再燃するので、社会的距離戦略を行い、しばらくしたら解除して、再燃したらまた行うことの繰り返しになるからです。

短期的には、3密が発生する場所での行動を自粛することは可能ですが、頻繁あるいは長期的に行うことが、必須になるため、それに伴う経済的なダメージは計り知れません。

野球、サッカー、ラクビーなどほとんどのスポーツは現行のシステムではできません。

私たちの歯科治療も治療前に十分なスクリーニングを行ったのちに治療を行うことになりますが、それでも新型ウイルスの病態の特性から漏れがあるのでPPEはマストになることが予想されます。

また、長期の計画的な治療が必要な患者さんは、社会的距離戦略が行われるので、治療が中断してしまい行うことはできなくなります。このことは、医科においても同様です。

リコール等で口腔内を良い状態に維持していた人もリコールが行われないため、Microbial Shiftが起こり好ましくない状態になってしまいます。

さらに、エアロゾルの発生における感染等を考えると治療においてはPPEを行うことがマストになり、今以上のエアロゾル対策もしなければなりません。

これからクリアしていかなければならないことは、枚挙にいとまがありません。

まとめ

100nmの小さなウイルスは、私たち人間の行動や職業等に関与する社会的構造のコペルニクス的転回を起こしてしまうファクターであることは間違いなさそうです。

私たちは、少なくとも医薬品介入が行われるまであるいは医薬品介入後も新型コロナウイルスと共存していく方法を考えないとなりません。

もしかしたら新型コロナウイルスは元の社会構造に戻る事を許してくれないかもしれませんが、歯科医療も存続しないと患者さんが困ります。私たちは、患者さんが安心して受診できることを考えることが急務です。

私たちは乗り越えていかなければなりません。

最後に、医療現場の最前線で自らの感染も顧みず使命感で従事なさっている医療従事者に感謝いたします。さらに、感染の可能性がある職種に従事している方にも感謝いたします。


参考文献

1)Kissler, Stephen, et al. “Projecting the transmission dynamics of SARS-CoV-2 through the post-pandemic period.” (2020).

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