新型コロナウイルスについて
New coronavirus(COVID-19)
今回のブログは、2020年2月22日のWHO、厚生労働省等の情報を基に新型コロナウイルスについて「今わかっていること」をまとめてみました。
新型コロナウイルスについて
2019 年 12 ⽉ 30 ⽇に中国保健機関が公表した湖北省の武漢の「原因不明の肺炎」は、2020 年 1 ⽉ 7 ⽇には原因が新種のコロナウイルス (2019-nCoV)と特定され、遺伝⼦も同定されました。
1月30日に WHOは、「世界的な緊急事態」を宣言し、「前例のない大流行」に「前例のない対応」を実施しているとしました。
WHO は 2 ⽉ 11 ⽇、疾患名を 「COVID-19」、国際ウイルス命名委員会は、ウイルス名を 「severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2)」としました。
コロナウイルスに関しては、図1、あるいは新型コロナウイルスを参照してください。
以下、新型コロナウイルスは、以下、COVID-19と記述します。
まず、疫学情報から見てみます。
疫学情報
世界分布
図2に世界分布図を示しますが、世界の28ヶ国で感染が認められます。世界の国が196ヶ国とすると発生から2ヶ月の間に急速に拡大を見せています。
図3を見てみると感染者は中国が98%を占めています。死亡者数も中国がほとんどですが、中国以外での死亡者数もわずかながら増えてきました。
しかしながら、2ヶ月で約8万人にも感染者が増加したのは 2003年のSARSと比較すると凄まじい速さです。
次に日本について見てみます。
日本
実は、日本は、2月20日までは、中国について2番目に感染者が多かったのですが、2月21日に韓国で感染者が急増し、3番目になりました。(資料はこちら)
また、新たに死亡者が2名追加され3名になりました。お亡くなりになった方にはご冥福をお祈りいたします。
ところで、図4の最後にピックアップした「疫学的なつながりを追うことができない症例がある」がちょっと懸念される事項です。
感染の発生段階を考えると?
図5にインフルエンザ等の対策政府行動計画の図を示しますが、これを見る限りでは、疫学的なつながりが追えなくなった症例が見られてきているので、フェーズとしては国内感染期に入ったと考えられます。(日本政府は、国内発生早期としています)
ちなみに、インフルエンザの流行の定義は・・・
全国の5000の病院で、一週間に平均一人以上の患者が受診するようになると「流行」というそうです。
ところで、感染は、感染者が非感染者にうつすことによって生じるものです。
そこで、感染者が非感染者に感染させる人数に関して指標になる基本再生度数についても触れておきます。
基本再生度数とは?
基本再生度数とは・・・
感染力のある一人の感染者が免疫の獲得もしくは死亡によりその感染力を失うまでに何人の人に伝染させるかを表した数値です。
WHOはこの数値を1.4〜2.5としています。
要するに、もし感染してしまったら1.4〜2.5人に伝染させてしまうかもしれないと言うことです。
しかしながら、Journal of Travel Medicineの論文のデータでは1.4〜6.49と言うものもありWHOのデータより高くなっています。
論文は、最後に、データが不十分で、開始時間が短いため、2019-nCoVのR0の現在の推定値は偏っている可能性があります。 ただし、より多くのデータが蓄積されると、推定誤差が減少することが予想され、より明確な画像が形成されるはずです。 これらの考慮事項に基づいて、2019-nCoVのR0は約2〜3になると予想され、これはWHOの推定とほぼ一致しています。
と締めくくっていました。
どちらにしても、2003年のSARSの時に比べて感染者数が多いことから、SARSより感染能力が高いことは明らかのようです。
もう少しデータが揃えば正確な数値が発表されると思います。
次に、感染した場合の臨床症状について見てみます。
臨床症状は?
他の呼吸器疾患と同様の症状を示すようです。
COVID-19に感染した場合は、「鼻水」「喉の痛み」「咳」「発熱」などの軽度の症状を引き起こす可能性がありますが、風邪と違い長引くようです。さらに今まで経験したことのない「強いだるさ」があるようです。
一部の人にとってはより重症になり、肺炎や呼吸困難を引き起こす可能性があります。 高齢者、および既存の医学的状態(糖尿病や心臓病など)を持つ人々は、ウイルスにより重症になりやすいようです。
特徴的な症状
長引く症状(鼻水、喉の痛み、咳、発熱(37.5°C以上))
「強いだるさ」(倦怠感)
臨床像は?
臨床の経過は
特徴的なのは、症状の続く「期間の長さ」のようです。
症状は、風邪の症状に似ていますが、症状が続く、期間が風邪と比べて長いという特徴があるようです。
重症化する症例では、発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってくることが分かってきました。
中国のデータでは、発症から病院を受診するまでに平均5日、そして入院までに平均10日かかるとしています。(図7)
感染してもほとんどの人は重症化しない!
もし感染しても、ほとんどの人は、重症化することは無いようです。
もし、COVID-19に感染してしまって、該当する症状が発現して1週間待っていたら、重症化する場合では遅すぎますので、受診のタイミングが重要です。
受診のタイミングは?
受診のタイミングは、臨床像を考えると自ずと答えが得られそうです。
つまり、発症してから1週間程度は風邪のような軽微な症状が続き、約2割弱と考えられる重症化する人はそこから徐々に悪化して入院に至るというわけです。
ちなみに、「インフルエンザ」は比較的、急に、高熱と咳、ノドの痛み、鼻水、頭痛、関節痛などの症状が現れます。
また、「風邪」はインフルエンザに比べるとゆっくりと発症し、微熱、鼻水、ノドの痛み、咳などが数日続きます。
しかし、COVID-19は、風邪と同様な症状が1週間以上続きます。
図10に示すように、厚生労働省は、「37.5°C以上の発熱が4日以上続く場合」や、「基礎疾患がある方は2日」での受診を奨励しています。
これは先ほど提示した、中国のデータも基にして考えたのではないかと思われます。
次に受診の方法です。
受診の方法
通常は、病気になると近所の医療機関やかかりつけの医療機関に行き受診しますが、今回はこの行為はNGです。
各都道府県にある帰国者・接触者相談センターに連絡して特定の病院を紹介してもらい受診の運びとなります。
また、複数の医療機関の受診はNGです。
次は、治療方法です。
治療法は?
治療方法はありません。
基本的に、経過を観察することになると言われています。治療方法は確立されていませんが、ほとんどの症例が軽快すると言われています。
また、2月22日に厚生労働省が新薬アビガンの使用を検討すると発表しました。これは、海外での治療でアビガンが効果を示しているからの様です。
ちなみに、アビガンは催奇性が強い薬のため、使うことにハードルを設けて、インフルエンザに対して従来の治療薬が効かない場合に、国がOKを出した時に使用できる薬なのです。
妊婦の方は?
Ashton MullinsCOVID-19の患者さんが多い中国では、 現時点では妊婦さんの死亡報告はありません。
「The Lancet」には母子感染は見られないという報告がされています。
論文によると、武漢で新型肺炎にかかった9人の妊婦を観察したところ、一部の女性で妊娠合併症が見られたものの、全員が無事に出産し、子供にウイルスの感染はなかったとしています。
予防方法は
フェーズは、国内感染期になってしまいましたが、現在できることとしては・・・
適切な予防処置を行うことです。
「正しい手洗いや正しいマスクの使い方」を行い、さらに、「免疫力の向上」に努め、感染を拡大しない行為を国民一人一人が意識することではないでしょうか。
新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター
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外部リンク
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
日本感染症学会:新型コロナウイルス感染症
国立感染症研究所:新型コロナウイルス(2019-nCoV)関連情報について
日本産婦人科感染学会:新型コロナウイルス感染症について
CDC:About 2019 Novel Coronavirus (2019-nCoV)
WHO:Novel Coronavirus(2019-nCoV)