WHOマスク不要と言明

WHO says mask is not required

2月28日、WHOのライアン氏が、「マスクをしていないからといって、感染の可能性が必ずしも上がるわけではない」と強調し、手洗いの励行など衛生上の注意点を守ることこそが「最も効果的だ」と言明しました。

元々、WHOは、1月29日の時点でも、マスクの予防効果については否定的でした。ブログでも紹介しているようにCDCも同様な見解です。

理由は、明確で、マスクに予防効果があると言うエビデンスがないからです。

現在のマスクに関するWHOガイドライン

詳しくは、以前、当ブログでアップした「マスクの正しい付け方・外し方」を参照してください。

(マスクに関するガイドラインはこちら

WHOの肩を持つわけではありませんが、ガイドラインには、

ただし、一部の国では、地域の文化的習慣に従ってマスクが着用される場合があります。マスクを使用する場合は、マスクの着用、取り外し、廃棄方法、および取り外し後の手指衛生措置に関するベストプラクティスに従う必要があります。適切なマスク管理に関するアドバイスを参照してくださいと記述してあります。

マスクは、正しく扱わないと問題ありという事です。感染予防を考えるとほとんどの人が正しいマスクの取り扱いができていないと思われます。

ちなみに、一部の国とは、日本のことです。外国人からしてみれば、マスクをしている日本人は、すごく不気味だそうです。

日本には、マスク神話がありますが、残念ながら、マスクには感染を予防してくれるエビデンスがありません。

そこで、マスクについての文献をちょっと調べてみました。

家庭内ではどうなのか?

インフルエンザ発症者がマスクを着用することで家庭内感染を防ぐことが可能であるか検討した調査が、2008~2009年のフランスにおけるインフルエンザ流行時期に行われました。

インフルエンザ診断がテスト陽性となり、48時間症状が続いている患者のいる家族を対象として、マスク着用群とコントロール群に分け、マスク着用群では発症者が他の家族と同じ部屋や限られた空間(車の中など)にいる場合にマスクを着用することを5日間実施しました。

その結果、調査期間中に家族がインフルエンザ様症状を示した割合は、マスク着用群は16.2%、コントロール群は15.8%で有意差はなく、マスク着用による感染予防効果は認められませんでした。

(文献はこちら

医療従事者はどうなのか?

医療従事者がインフルエンザ感染予防を目的として、サージカルマスクとN95マスクの着用による効果の差を調べた報告もあります。

カナダのオンタリオ州にある8つの3次ケア病院の救急、内科、小児科の看護師446名が参加し、調査期間中、発熱患者への対応時に予めフィットテスト済みのN95マスクまたはサージカルマスクを着用する群に分けてインフルエンザ予防効果を確認しました。

その結果、N95マスク群で48名(22.9%)、サージカルマスク群で50名(23.6%)のインフルエンザ感染が生じ、マスクの種類による感染予防効果の差はみられなかったと報告されています。

(文献はこちら

この実験結果は、ある意味ちょっと歓迎できない結果でしたが・・・

マスクに関するエビデンスはない!

マスク着用がインフルエンザや他の感染症予防に有効であることを検証した推奨度A、エビデンスレベル1bのランダム化比較試験のエビデンスはありません。

一方、手洗いの小児肺炎などの感染症予防効果については、推奨度A、エビデンスレベル1bのランダム化比較試験のエビデンスがあるので、WHOや米国CDCのインフルエンザ予防ガイドラインはマスク着用よりも手洗いを重視しています。

これは両者の予防効果のエビデンスレベルの違いを反映させたものである。

と述べています。

(文献はこちら

エビデンスレベルとは

エビデンスレベルとは、研究や臨床試験の方法を分かりやすくタイプ別に作った信頼度の目安です。

(詳しくはこちら

まとめ

WHOはエビデンスに基づいてガイドラインを出している。

エビデンスによればマスクはあまり効果がないと言わざるを得ない

マスクは正しく取り扱う必要がある

ただし、エビデンスは現時点での論文を参考にしているので将来的に変わる場合もあります。


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外部リンク

首相官邸ホームページ:安倍内閣総理大臣記者会見

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について

日本感染症学会:新型コロナウイルス感染症

国立感染症研究所:新型コロナウイルス(2019-nCoV)関連情報について

日本産婦人科感染学会:新型コロナウイルス感染症について

CDC:About 2019 Novel Coronavirus (2019-nCoV)

WHO:Novel Coronavirus(2019-nCoV)


手洗いの方法

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長の手洗い

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