3回目のワクチン接種

Third vaccination

1月の下旬ごろに3回目のワクチン接種券が郵送されてきました。

2回目のワクチンを接種したのが6月だったので、接種後7ヶ月経過しています。当初は2回接種すれば、集団免疫ができ、マスク生活はなくなるとの触れ込みでした。そしてほとんどの国民が期待感を持ちつつ接種を行いました。

ところが、ウイルスが変異したためか、ワクチンを接種しても予防効果はあまりなく、重症化予防に有効というスタンスになってしまいました。

インフルエンザのワクチンに比べれば効果があると言ったところです。

そうこうするうちに、諸外国では、抗体価を上げるために、ブースター接種つまり3回目の接種が当たり前のように行われるようになりました。

結果については、報道でもされている様に オミクロン株についてはあまり良い噂は聞こえてきません。ちなみに、日本は、3回目のブースター接種が諸外国に比べ遅れています。これについても報道されています。

ところで、今回、ワクチンの接種券が届いたということは、「接種する」か「接種しない」かの2択をすることになるわけです。今更ですが、ワクチン接種は、努力義務なので強制ではありません。つまり、接種したくなければ打つ必要はありません。

そこで、3回目の接種についての情報について見てみました。

神戸大学 ブースター接種効果あり

先月の1月18日に神戸大学から発表がありました。

昨年12月、ワクチンの3回目を接種した20~60代の医師65人の血清を今月解析したところ、オミクロン株に対する中和抗体の保有率は、2回目接種の約2カ月後には23%、約半年後にはわずか5%に低下してしまいました。第5波の主流だったデルタ株や従来株に対する同保有率に比べ、大きく下回っていました。ところが、3回目の接種から2週間~1カ月後には、デルタ株や従来株と同様に100%に上がり、中和抗体の量も、3回目接種によって大幅に上昇したということです。

厚生労働省の見解

英国健康安全保障庁(UKHSA)の報告によると、ファイザー社及び武田/モデルナ社のワクチンのオミクロン株に対する発症予防効果はデルタ株より低く、2回目接種から2-4週後は65~70%であったところ、20週後には10%程度に低下することが示されています。ここで、追加接種することにより、その2~4週間後には発症予防効果が65~75%程度に高まり、一時的に効果が回復することが示唆されています。ただし、10週以降はその効果が45~50%程度になるというデータもあり、効果の持続期間については、引き続き情報を収集していく必要があります。

厚生労働省

オミクロン株に対する入院予防効果については、ワクチンの種類毎に解析はなされていないものの、UKHSAの報告によると、2回目接種後25週目以降では44%であったところ、追加接種後2週目以降では89%に回復していることが確認されています(※1)。また、65歳以上の人における、オミクロン株に対する入院予防効果は、追加接種後2~9週で94%、10週以降で89%であったことが報告されており、発症予防効果に比べると、その効果は比較的保たれていると考えられます

厚生労働省

英国健康安全保障庁は、236,023人のデルタ患者と760,647人のオミクロン患者から、ワクチンの効果(2回接種後と3回接種後)を検討していますので、参考になると思います。

このことについては、「2月の診療予定のお知らせ」でも触れています。興味のある方はご覧ください。

3回目の副反応は?

ファイザーもモデルナも追加接種の副反応は、あまり変わりはない様です。ただし、初回接種時と比較して、リンパ節の腫れの発現割合が高いこと(ファイザー社:5%程度、武田/モデルナ社:20%程度)が気になるところでした。1)2)

米国CDCのデータ3)によると、いずれのワクチンにおいても、追加接種後1週間以内に見られた様々な症状(局所及び全身性の反応や、健康状態、日常生活や勤務への支障等)は、2回目接種後と比較して、その発現割合が低かったと報告しています。

交差接種した場合の副反応

初回接種でファイザー社またアストラゼネカ社のワクチンを受けた30歳以上の人を対象に、追加接種でファイザー社、モデルナ社、又はアストラゼネカ社のワクチンを受けた時の抗体価を比較した英国での調査結果があります。5)

いずれのワクチンにおいても、対照群(髄膜炎菌のワクチンを接種)と比較して、接種から28日後の抗体価が有意に上昇し、副反応は全てのワクチンの組み合わせで同様であり許容される程度と報告されていました。

3回目のワクチンを接種することにした

当初は、ワクチンのブースター接種に関して微妙でしたが、総合的に判断して、接種することにしました。

理由は、諸外国の様に日本では感染者が少なく、当然のごとく集団免疫が得られないためピークアウトの期間が長くなると予想されたこと、現状ではオミクロン株に有効なワクチンがありませんが、接種しないより接種した方が一時的ではあるが、抗体値が上がるので感染のリスクが多少なりとも少なくなるのではないのかと考えたからです。

実は、前回の接種において、副反応が発現したのでちょっと二の足を踏んでいました。この様な方は意外といるのではないでしょうか?

報告を見る限りでは、3回目の副反応もほぼ同様の様でした。さらに、当院に来院する患者さんに実体験をお話しできることから3回目の接種を行いました。

前回ほどではなかったが・・・

3回目のワクチン接種は、接種ワクチンの選択はできませんでした。接種された物は、以前と同様なファイザー社製のワクチンでした。

気になる副反応ですが・・・

接種部位の疼痛が接種日の夜から発現しました。実は、前回は発熱と頭痛があったので、今回は、接種後にすぐ解熱鎮痛剤を飲みました。そのお陰なのか、発熱と頭痛はなかったものの、接種部位の疼痛がありました。

接種部位の疼痛は前回より痛いような気がしました?(前回の接種が7ヶ月前だったので記憶が定かではありませんが・・)前回ではみられなかった腋窩部の疼痛と腫れが3日ほど続きました。

全体としての感想は、接種部位の疼痛と腫れは前回よりあったものの、前回より楽な感じでした。前回、全く問題なかった人でも3回目に接種部の疼痛があったので3回目が一番辛かったという人も身近にいました。さらに、全く問題ないと言う方もいました。

だいぶ個人差がある様なので、副反応については接種してみないとわからないといったところです。

ワクチン接種の不思議

尾身会長は、2月5日にモデルナを接種しました。ちなみに、尾身会長は72歳で医師です。モデルナを打たせるためのプロパガンダにしようと思ったのかもしれませんが、どちらかといえば逆効果だったかもしれません。

医師で高齢者なのに遅いのはなぜ?尾身さんは医療関係者ではないの?とほとんどの国民が思ってしまいました。岸田首相がワクチンを接種するのも近いうちにニュースになるでしょう?ちなみに、岸田首相は64歳です。いつぞやのインタビューでモデルナを接種すると言っていました。

最近では、モデルナを接種すると景品がもらえる自治体まで出て来てしまいました。

3回目のワクチン接種が進まないのは?

ワクチン接種に関しては、前菅政権では河野ワクチン担当大臣のもと順調に進んでいたのに、岸田政権では、あまりというかいまいちの感があります。真偽の程は確かではありませんが、厚生労働省絡みだとなかなかスムーズに進行しない為、菅さんがワクチン担当大臣を作り担当させたという話も漏れ聞こえて来ています。

事実、厚生労働省は、昨年の年末までは、接種間隔を8ヶ月と言う線を譲らなかった様です。昨年の11月に6ヶ月経てば接種しても良いと言う薬事承認が降りたのですから、もう少し早くできたのかもしれません。

まとめ

3回目の副反応は個人差あり

何となく、オミクロン株もピークアウトの兆しが見えてきましたが、ピークアウト後の波の形は、マッターホルン型ではなく富士山型になるのではないかと予想されています。当然、まん延防止措置も延長されることになります。

新型コロナの変異や感染力が凄いため、新型コロナの対策の舵取りは非常に難しそうです。

ワクチン接種は無料ということを聞きますが、これは、政府が莫大なお金を出して製薬会社から買っています。すなわち我々の税金で負担されていることをお忘れなく。


参考文献

1)PMDAの審査報告書(ファイザー社製のワクチン)

2)PMDAの審査報告書(モデルナ社製のワクチン)

3)COVID-19 Vaccine Booster Dose Safety

4)SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England Technical briefing 34

5)Munro, Alasdair PS, et al. “Safety and immunogenicity of seven COVID-19 vaccines as a third dose (booster) following two doses of ChAdOx1 nCov-19 or BNT162b2 in the UK (COV-BOOST): a blinded, multicentre, randomised, controlled, phase 2 trial.” The Lancet 398.10318 (2021): 2258-2276.


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