ビスフォスフォネート製剤

Bisphosphonate

unsplash-logoMarcelo Leal

ビスフォスフォネート製剤

ビスフォスフォネート製剤(以下BP剤と略します)は、日々の臨床で高齢者の女性の場合、服用している頻度が非常に高く、さらにさほど高齢でない人でも予防的に服用している方もおられます。また悪性腫瘍(がん)の患者さんでは、骨吸収を抑える作用などにより、がんによる高カルシウム血症やがんの骨転移による痛みなどを改善する薬として使用されています。

臨床で問題になるのは、この薬による副作用である顎骨壊死です。過去に臨床で一度だけ拝見したことがあります。やはりこの方はがんの患者さんでゾメタを点滴していました。臨床症状は、骨が露出してわずかに骨が壊死していましたが無症状でした。洗浄と局所的な抗菌剤の塗布で治癒しました。それ以後は臨床ではありません。点滴の場合が100人に1人ぐらい、錠剤の場合は1万人に1人ぐらいの発生頻度です。

現在使用されているBP剤についての一覧はこちらから参照してください。

BP剤と知らず服用している!

問題は、ほとんどの患者さんがBP剤と知らずに服用していることです。内科あるいは整形外科で骨粗鬆症なのでお薬を飲んでくださいと言われ飲み始めています。医師としては薬に関してリスクとベネフィットを説明しているのでしょうが、患者さんがそれについての知識あるいは情報がなければお医者さんがいうことなら正しいとバイアスがかかりますのでしょうがないところです。

最近とみに感じるのですが、骨粗鬆治療薬は新薬ラッシュなのか聞きなれない名前が多く臨床で混乱しています。これはジェネリック薬品のせいもあるかもしれません。そこで、骨粗鬆症の薬に関してちょっと整理してみました。

骨粗鬆症の薬

大きく分けると3つになります。

①骨吸収を抑制する薬 ②骨形成を促進する薬③どちらにも属さない薬

①骨吸収を抑制する薬

②骨形成を促進する薬

③どちらにも属さない薬

⭐️顎骨壊死が起こる(ただし、ほとんどが多発性骨髄腫や乳がんや前立腺がんで薬を使用している場合)

診療をしていての感想ですが、やはりBP剤の使用頻度は高いように思われます。最近は、6ヶ月に一度、注射をすれば良いデノスマブ(プラリア)を行なっている患者さんが多いようです。

また、最近の注目は、テリパラチド(フォルテオ、テリボン)を使用することによって顎骨壊死が治癒したということです。

どちらにしても来院している骨粗鬆症予備軍の患者さんにはいずれこの薬のお世話になる可能性が高いことや薬に関しての予備知識をお話ししています。

骨粗鬆症の薬を服用している患者さんの歯科治療

歯周病学会や口腔外科学会から歯科治療のガイドラインが出ていますので基本的にはこれを参考に現状では行なっています。

歯周病学会のポジションペーパー

口腔外科学会のポジションペーパー

当院では、担当の医師と緊密な連絡を取り患者さんとの十分な情報の共有を行なったのちに歯科治療を行なっています。


関連記事

噛める入れ歯

コーヌス義歯 最近、 BP剤を服用しているためにインプラントによる欠損補綴の治療ができず、噛め ...

Pocket
LINEで送る