薬について

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薬とは

薬とは、元々、自然界にある植物や動物や鉱物などを経験的に試して用いたのが始まりでした。

薬の由来

ちなみに、「薬」という字は、「クサカンムリ」に「」という字を組み合わせたもので、「クサカンムリ」は植物をあらわすそうです。楽には「細かく切る・刻む」という意味があるそうです。

植物を切ったり刻んだものを煎じて薬として使用していました。これが、薬の語源とされています。

また、草煎り(クサイリ)の「クサイリ」がなまって「クスリ」になったという説もあります。

「漢方薬」がその際たる例で、長い年月をかけて経験的にどの薬を組み合わせると、どの様な効果が発現し、あるいは有害なことが起こるかが確かめられて体系化されたものです。

ちなみに、中国を起源としていますが漢方は日本独特のもので、本家の中国とは医学体系は異なります。

医院で処方される漢方薬は、主に生薬を煎じた液を乾燥させて得られるエキスを顆粒状にしたエキス製剤が使用されています。

漢方薬は、現代の医療現場でも使うことが認められ、医師が処方する医療用医薬品として148品目あります。

これに対して、西洋医学の薬(西洋薬)は、人工的に化学合成された物質がほとんどで、一つの成分で構成されており、一つの疾患や一つの症状に強い薬理作用を示します。

その反面、副作用等を考慮しないといけません。(漢方薬と西洋薬についてはまた、別記します。)

ところで、薬は、「医薬品」をいい、類似するものに「医薬部外品」や「化粧品」があります。

 「医薬品」「医薬部外品」および「化粧品」は、

薬機法1)という法律により扱いが決まっています。

以下、ざっくり説明します。

医薬品とは?

図1

薬機法第2条第一項によって定義されています。

日本薬局方に収められている物で、人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされているものです。さらに、人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされているものです。(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)

日本薬局方に収められていなくて、医薬部外品あるいは化粧品では治療や予防は謳えません

また、「治療」や「予防」と謳うと医薬品扱いになります。

したがって、医薬品以外で治療あるいは予防と謳うと薬機法違反になります。

医薬部外品とは?

薬機法第2条第二項によって定義されています。
「医薬部外品」とは、次に掲げる物であって人体に対する作用が緩和なものをいいます。

1)次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物を除く。)であって機械器具等でないもの

イ 吐き気その他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛

2)人又は動物の保健のためにする、ねずみ、はえ、蚊、のみ、その他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物 ( この使用目的のほかに、併せて前項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物を除く。 ) であって機械器具等でないもの

3)前項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物(前2号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

化粧品とは?

薬機法第2条第3項によって定義されています。

この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚もしくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいいます。
ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除きます。

医薬品の分類

図2

医薬品は「医療用」と「一般用」に大きく分けることができます。

医療用」は、病院や歯科医院で、医師や歯科医師が診断した上で発行した処方箋に基づいて、薬剤師が調剤して渡してくれる薬です。処方箋に基づいて渡されるので、処方薬とも呼ばれます。

服用する薬では、一般用の薬とは異なり含まれている薬の有効成分の量が多いので、効果が高いが故に、副作用も大きくなります。

一般用」は、薬局・ドラッグストアなどで処方箋なしで購入できる医薬品で、市販薬とも呼ばれます。

市販薬の中には、以前は処方箋がなければ購入できなかったものがあります。処方薬として規制を受けながら何年も使われる中で優れた安全性を示した薬が市販薬として承認されて使用されています。同じ薬でも、市販薬では処方薬に比べて、含まれる有効成分の量が大幅に少なくなっています。

効き目は、医薬品には及びません。

OTC医薬品の分類

図3

長らく、「市販薬」と呼ばれてきましたが、最近では「OTC医薬品」と呼ばれる様になりました。

ちなみに、この「OTC」は、英語の「Over The Counter」の略で、カウンター越しにお薬を販売するかたちに由来しています。

また、副作用の心配が少ないなどの要件を満たした医薬品を薬局などで処方箋なしに購入できるよう、一般用医薬品として認可したものをスイッチOTC薬といいます。

図4

さらに、薬のリスクを考慮したものに第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品の分類があります。2)

第一類医薬品で有名どころは、「ロキソニン」「ガスター10」などがあります。図4に示す様に、リスクが高い薬なので、あまり商品としては流通していません。一般用医薬品に占める割合は、概ね1%ぐらいです。

第二類医薬品で有名どころは「正露丸」「コーラック」などがあります。医薬品として認定されている唯一の次亜塩素酸水の「フリーキラーS」も第二類に族します。また、意外なものに「ユンケル」も第二類です。

ちなみに、現在市販されている一般用医薬品の76%を占めており大半が第2類医薬品です。

第三類医薬品で有名どころはちょっと話題になった「イソジン」などがあり23%を占めています。

新薬の特許について

新薬には、特許がありその期間は、20年間です。当然、他社は特許期間中は、同じ薬は出すことができません。しかし、通常は、治験を行う前に特許の申請を行います。薬の研究開発と治験に長い年月がかかるので、実際に薬を独占で販売できる期間は10年ぐらいといわれています。

ジェネリック医薬品について

ジェネリック医薬品の「ジェネリック」とは英語で「Generic」と表記し、「一般的な」といった意味の言葉です。

ジェネリック医薬品は、「後発医薬品」とも呼ばれます。

先発医薬品の特許が切れると多くのメーカーから後発医薬品がゾロゾロ発売されるので、医療業界では後発医薬品のことを「ゾロ」と呼んでいます。

ジェネリック医薬品は、有効性と安全性が確認されているので、開発経費が抑えられるため薬価は先発医薬品に比べ著しく安価になります。3)

一般に、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と有効成分は同じですが、添加物が違います。ところが、最近では、有効成分だけではなく、原薬、添加物、製法なども一緒である「オーソライズド・ジェネリック」が幅を利かせています。

オーソライズ・ジェネリックについて

オーソライズは英語では「authorize」と綴ります。権限という意味の名詞「authority」から派生していますので、権限をあたえられたジェネリックと言えます。

ブランド系製薬会社からしたら、ジェネリック医薬品会社はかなり嫌な存在です。特許が切れた瞬間から、ゾロゾロ現れ、安価なため患者さんは通常それを購入してしまいます。当然今までの様に薬は売れなくなってしまいます。

そのため、オーソライズド・ジェネリックは、ブランド系製薬会社の子会社や関係会社が、ブランド会社の認可を受けて製造する場合が一般的です。

副作用被害の救済制度について

図5

医薬品によって副作用があった場合に救済が行われる制度があります。

医薬品副作用被害救済制度とは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)が救済給付を行う制度です。4)


参考文献

1)薬機法

2)一般用医薬品のリスク区分

3) ジェネリック医薬品Q&A

4)医薬品副作用被害救済制度


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