オミクロン株はトップをカオス状態に?

Omicron strains make top chaotic

都知事は21日の定例記者会見で、政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長が「人流抑制ではなく人数抑制キーワード」と発言したことについて、「人流や人との接触機会の削減、不要不急の都道府県間の移動の自粛は(政府の)基本的対処方針に書かれています。尾身先生はそれを超えたことをおっしゃっているので、そこは国と尾身先生、分科会、専門家で整合性を取ってほしい」との発言がありました。

確かに、遡ること19日のインタビューで尾身会長が、「人流制限」より「人数制限」との発言がありました。

21日の厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料1)の「オミクロン株の特徴を踏まえた効果的な対策」の中に人流より人数制限とされて表記されていました。ちなみに冒頭に「本文書は、オミクロン株による感染が急速に拡大し、医療の負荷がかかり始めている地域を念頭に作成したものである。」との記述がありました。

案を作るにも、喧々諤々の議論の末に作成したものと思われます。ちなみに、作成者の名前は、阿南 、磯部 、今村 、太田、 大竹 、岡部、 小坂、 押谷、 尾身 、釜萢、 小林、 高山、 田中、 舘田 、中島 、中山 、古瀬 、前田 、武藤 、脇田 、和田と記載されていました。当然尾身会長の名前もありますので、尾身会長自身の意向ではなく、新型コロナウイルス感染症対策専門家会としての意向と考えられます。

会長が勇足的な発言をしてしまったのか?その辺りについては不明なところですが・・・

明らかなことは、専門家と政府さらに自治体のトップのコンセンサスがとられていなく意見がバラバラなことが露呈されたことです。

東京都は、感染が急速に拡大し、医療に負荷がかかり始めている地域です。この文書を都知事が目を通していなかったとは思えませんし、この対策に目を通して反対ということですかねぇ?

余程、素晴らしい案があるのでしょうか?

オミクロン株の対策は以前と同じでいいのか?

オミクロン株は、感染力の強さから以前の対策では対処できないことは、すでに明白にも関わらず、まるで2年前のビデオテープを見ているかのような都知事の発言にはビックリした人が多かったのではないでしょうか?

都知事は、社会は止めないと言いつつ、尾身先生の人数制限に対して「人流や人との接触機会の削減、不要不急の都道府県間の移動の自粛は(政府の)基本的対処方針に書かれている」とし、刻々と変わる新型コロナウイルスの変異株に対して有効である対策をすると思いきや、以前と代わり映えのしない対策でした。

政府分科会の情報発信は?

政府分科会の代表である尾身会長の情報発信もやや難があるかもしれません。国や自治体のトップとの意見のコンセンサスをしたのちに情報発信しないとちょっと問題ありです。当然、寝耳に水となってしまい問題が生じてしまいました。なんと国会で野党からの質問までされることになってしまいました。

ちなみに、尾身会長が知事らに詫びを入れて一件落着の様です。

ワンボイスの必要性

人流を制限する或いは人数を制限するどちらにするにしても、国と分科会と自治体の整合性が必要です。行動制限を行う国民にしてみればどちらを信用すれば良いのか迷ってしまい困ります。オミクロン株は感染力が凄いため、ノロノロしていたら社会インフラに支障が生じてしまいます。素早い対策が必要です。国民に開示する際は、関係機関のコンセンサスをとってワンボイスにして頂きたいものです。

オミクロン株に対する当面の基本的対処方針

1月25日公表された、37回目の変更がされた基本的対処方針2)を見てみると・・・

大きな変更点はなく、結局、政府、自治体等に波風が立たないような分科会の案は骨抜きにされ、「まん延防止等重点措置」が、北海道、青森県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、石川県、長野県、静岡県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、福岡県、佐賀県、大分県及び鹿児島県に、令和4年1月 27 日から2月 20 日まで行われることになりました。

「不織布のマスクを推奨」

「濃厚接触者の待機を7日」

「まん延防止措置区域の県をまたぐ移動を自粛」

今回のことで、政府は、科学より非科学的なことを優先し、分科会のことは聞く耳を持たないことを国民に知らしめてしまいました。このような現象は、独裁国家でよく見られることで、残念でなりません。

今更というかやっとという感がありますが、「マスクは不織布のもの」が推奨になりました。日本人が大好きなマスクですが、マスクに関するエビデンスは乏しく4)決定的なものはありません。

また、一般に論文として発表されたものしかエビデンスとして扱われません。エビデンスとしてのインパクトファクターはありませんが、豊橋技術科学大学のプレスリリース5)によると不織布のマスクが一番効果がある様です。

オミクロン株に対する対策が後手に回り、オミクロン株による致死率等がインフルエンザと同等なら2類相当から5類に変更という案も出ています。ところで、現行の法律だと2類相当なので必ず保健所が介在しないといけませんし、これだけ感染者が多くなると保健所も対応できないのは誰の目から見ても明らかです。

3回目のワクチンの接種も遅々として進まず、先進国で最下位の様です。どうして、岸田政権になった時に、厚生大臣とワクチン担当大臣を留任しなかったのか疑問です。ワクチン担当大臣の堀内氏は前任の河野氏に比べインパクトに乏しく名前すらほとんどの人が知らないと思います。国会答弁も頼りなく前任者に比べると微妙な感じです。

ここにきて、都の病床使用率も50%に近づき、数値では緊急事態宣言を出さなくてはいけなくなり、緊急事態宣言よりもっと他の対策を行わなければならないのではと、誰しもが思うところです。もし、現状で緊急事態宣言を出してしまうと世紀の愚策になってしまいます。尾身先生のオミクロン株の対策に噛みついた小池都知事も、国にオミクロン株の特性を踏まえた発出基準や対策内容に見直すよう政府に要望しました。

濃厚接触者の待機も10日から7日となり、刻々と対応が変化しています。さらに、検査キットのリソースもままならなくなって来ています。まさに、問題山積のオミクロン株といったところです。

うがいと歯磨きの励行を

3回目のワクチン接種を行い、予防効果を高めること、また、オミクロン株は、肺ではなく上気道でウイルスが悪さをしますので、以前も当ブログ(コロナで注目された歯磨き粉の成分とは?)で触れましたが、口腔内ケアをすることで予防効果があると思われます。「ワクチン」「マスク」「手洗い」に加え「口腔内ケア」を行うことをお勧めします。


参考資料

1)オミクロン株の特徴を踏まえた効果的な対策

2)新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和4年1月25日変更)

3)新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置に関する公示の全部を変更する公示

4)市中におけるマスク着用による感染防止効果等について

5) 豊橋技術科学大学のプレスリリース


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