アルジネート印象材による全顎印象

Impression with alginate impression material

はじめに

最近は、光学スキャナーでの口腔内印象をして補綴物を作成することが行われるようになりました。ただし現状では自由診療のみに制限されています。

歯科金属の高騰やCAD/CAM機器の目覚ましい発展により近い将来保険診療にも参入する日が遠くはないと言われています。

とは言うものの、従来の方法で印象を行っているのが現状です。

また、最近では、スイッチを押せば、既に、練れていて、気泡がないアルジネート印象材が出てきて、それで印象が取れる様になってきましたが・・・

私たちの職種は、手先の器用さが売りの職種なので、手を使って、気泡のないアルジネート印象材を練って、綺麗な印象をとれることが、手先の器用さの鍛錬にもなるので、当院では、基本が大事と考え、あえて手を使って行うことが望ましいと考えています。

ところで、医院によって様々ですが、俗にいうマル模は、アルジネート印象材を用いて衛生士さんが取っている場合が多い様です。

さらに、アルジネート印象材で全顎の印象を取ることは、新人の衛生士さんにとっては苦手としている方が多くいる様に思われます。

ちなみにベテランの衛生士さんでも「適切な印象」となると苦手な方が意外といるかもしれません😁

しかし、全顎をアルジネート印象材を用いて印象するのも「コツとポイント」さえ抑えれば意外と簡単にできてしまいます。

そこで、当院の新人用教育プログラムの一つである「アルジネート印象材による印象のコツポイント」についてまとめてありますので、アルジネート印象材を用いて全顎の印象を取ることで悩んでいる方は、参考になるかもしれません。

イメージビデオを作成してみました。ご覧ください。興味が湧いたら下記のコンテンツもご覧ください。


コンテンツの全体の流れ

このコンテンツの全体の流れについてのビデオです。

目指すゴールの適切な印象とは?

ミッションを成功させるには、ゴールを明確にした方が達成しやすいといわれています。

そこで、ゴールとなる「適切な印象」についてです。

適切な印象」とは・・・

気泡がなく、歯・歯肉頬移行部・口腔前庭部等の印象がきちんと取れているもの」です。

新人の衛生士さんは「適切な印象を取れる様になることがエンドポイント」になりますが、スタートポイントの「気泡のないアルジネート印象材」が練れてはじめてエンドポイントに向かうことができます。言うまでもありませんが、気泡のあるアルジネート印象材では適切な印象は取れません。

スタートポイントの「気泡のないアルジネート印象材」は、「アルジネート印象材の練り方」を参照してください。

これからのお話は、アルジネート印象材が適切に練られているという前提での話になります。

あとは、目指すべきゴールをクリアするための前提知識と方法を自分で調べてゲットすれば良いだけです。

では、まず前提知識からです。


断面について

適切な印象を取るには、ある程度の前提知識が必要です。医療関係者はほとんどが学習済みの知識なので、忘れた方は、再確認するだけなので大丈夫です。

ちなみに、断面の概念は、解剖学で扱われるものです。

矢状面」は、体を左右対称に切る面とこれに平行な面をすべて矢状面といいます。

前頭面」は、身体を前後に切る面で、矢状面に垂直な面のことをいいます。

水平面」は、床と平行で、矢状面と前頭面と垂直な面をいいます。

印象の際の重要印象部位」での説明で用います。

手関節・前腕の動き

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実際の印象


終わりに

自分が苦手なステップは・・・

どこなのか?

明確にして、そこを、練習してください。

練習は、できれば先輩もしくは先生で行ってください。理由は、適切なアドバイスをしてくれて素晴らしいメンターになってくれるからです。

すべてのことに共通していますが、自分より上手い人に習った方が上手になります。

楽しく習って 上達して 仕事に役立ててください。

あなたも必ず上手に印象がとれる様になります。

成功者と呼ばれる人達は、失敗を経験している人がほとんどです。


Success is going from failure to failure without a loss of enthusiasm.

成功とは、失敗から失敗へと、情熱を失うことなしに渡り歩くことである。

ウィンストン・チャーチル

参考文献

1)米本恭三, 石神重信, and 近藤徹. “関節可動域表示ならびに測定法 (平成 7 年 4 月改訂).” リハビリテーション医学 32.4 (1995): 207-217.

2)大島正光. “人間の手の運動.” 計測と制御 7.12 (1968): 938-945.

3)下山和弘. “下顎大臼歯頬舌側面における筋圧.” 口腔病学会雑誌 49.4 (1982): 633-662.

4) 岡田徳次. “指の運動と手作業の分析.” バイオメカニズム 3 (1975): 133-144.

5)関根弘. “有床義歯の印象採得をめぐって.” 日本補綴歯科学会雑誌 31.1 (1987): 8-11.

6)関根弘, et al. “有床義歯のための印象方法に関する基礎的ならびに臨床的研究 (第 1 報).” 日本補綴歯科学会雑誌 10.2 (1966): 107-113.

7)古宇田昌. “印象法が遊離端義歯の適合性に及ぼす影響について.” 日本補綴歯科学会雑誌 25.1 (1981): 142-153.


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