新型コロナウイルスの今後のシナリオ
Future scenario of new coronavirus
出典:厚生労働省
5月1日に専門家による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」がなされました。
緊急事態宣言による行動変容の要請は、感染拡大を防ぎ、医療提供体制の崩壊を未然に防止することを目的としています。
対策を一気に緩めれば、感染が再燃し、医療崩壊・重症者増大の恐れがあるとしています。
今後のシナリオ(日本の場合)
①早期診断及び治療法の確立により重症化予防の目途が立つまで ②効果的なワクチンができるまで
蔓延防止を第一としつつ、社会経済活動との両立を図っていく
感染予防する「新しい生活様式」
要するに、医薬品介入が可能になるまで、非医薬品介入の現行の方法を繰り返し行っていくということです。
新しい生活様式?
基本的感染対策の実施
接触機会の減少の対策
新しい生活様式というと聞こえがいいですが、現行の感染予防策を励行し、生活を自粛して接触を減らすことを行っていくと言うことです。
今後の方針
我々一般庶民は、行動変容を新しい生活様式にするだけです。多分ゴールデンウイーク明けに、政府からの発表があると思います。
米ミネソタ大学「感染症研究政策センター」が、新型コロナに関する見解
5月1日に、米ミネソタ大学「感染症研究政策センター」が、新型コロナに関する今後のシナリオ等の見解を報告したので参考になるかもしれません。
シナリオ1
2020年春のCOVID-19の最初の波の後に、夏の間、その後一貫して1〜2年間にわたって一連の繰り返しの小さな波が続きます。2021年のある時点で徐々に減少していきます。これらの波の発生は地理的に異なる場合があり、どのような緩和策が実施されているか、どのように緩和されるかに依存する場合があります。 波のピークの高さに応じて、このシナリオでは、次の1〜2年間で定期的な再構成とその後の緩和が必要になる場合があります。
シナリオ2
2020年春の第1波の後、2020年の秋か冬に大きな波が起き、2021年に1つ以上の小さな波が起きます。このパターンでは、秋に緩和策を再設定して、感染の拡大を抑え、医療システムの崩壊をさせないことをする必要があります。1918-1919のスペイン風邪の時や1957-58のパンデミック、2009-2010のパンデミックの時にも類似したパターンが起きました。
シナリオ3
2020年春のCOVID-19の最初の波に続いて、進行中の感染と症例発生の「ゆっくりとした燃焼」が続きますが、明確な波のパターンはありません。
繰り返しますが、このパターンは地理的に多少異なる場合があり、さまざまな地域で実施されている緩和策の程度によって影響を受ける場合があります。
この3番目のパターンは、過去のインフルエンザの大流行では見られませんでしたが、COVID-19では可能性があります。
この3番目のシナリオでは、ケースと死亡は引き続き続くものの、緩和策の再設定を必要としない可能性が高いと思われます。
シナリオ2が好ましくないパターンですが、日本は、どちらかというとシナリオ1を現時点ではゴールにしている様です。
新型コロナは最終的にはどうなるのか?
新型コロナのパンデミックは、集団免疫が徐々に獲得され、18~24ヶ月間続くとしています。これは、先日のハーバード大学の論文と同じです。
パンデミックが衰退するにつれて、SARS-CoV-2は、人間の集団内を循環し、時間とともに重症度が低下する季節パターンに同期するとしています。
つまり、現在の風邪とかインフルエンザと同様に、これからずっと共存していくことになるということです。
推奨事項として
州、準州、および部族の保健当局は、ワクチンの入手可能性や群れの免疫がないことを含めて、最悪のシナリオ(2020年の秋に2番目の大きなピークを含む)を計画する必要があります。
政府機関と医療提供機関は、病気の発生が急増した場合に医療従事者を適切に保護するための戦略を策定する必要があります。
政府当局は、緩和策を再開するためのトリガーを含め、病気のピークが発生したときに対処するための具体的な計画を策定する必要があります。
政府当局者からのリスクコミュニケーションメッセージには、このパンデミックがすぐに終わるわけではなく、今後2年間にわたって定期的に再発する可能性に備えて準備する必要があるという概念を組み込む必要があります。
まとめ
日本の専門家会議の今後のシナリオは、ある意味では秀逸かもしれません。政府と専門家に期待というところでしょうか?
参考文献
1)「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年 5 月 1 日)
2)COVID-19: The CIDRAP Viewpoint