新型コロナウイルスに有効かもしれないカテキンとクルクミン

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現在は、COVID19に関する文献がどの学会誌でもほとんどFreeで閲覧できます。そんな訳で興味がある方は、閲覧している方が多いようです。ちなみに主宰者もその一人です。

本日のブログは、非常事態宣言が発令されたにもかかわらず、都内から千葉まで診療に来てくれる患者さんから教えていただいた情報です。

現在、医学界は、COVID19に有効な薬やワクチン等の開発に血眼になっています。その最中、4月8日に『Catechin and Curcumin interact with corona (2019-nCoV/SARS-CoV2) viral S protein and ACE2 of human cell membrane: insights from Computational study and implication for intervention』カテキンとクルクミンはコロナ(2019-nCoV / SARS-CoV2)ウイルスSタンパク質およびヒト細胞膜のACE2と相互作用する。としてまだ査読がされていない情報として公表されています。

ざっくり言うと、私たちがいつも飲んでいる緑茶に含まれているカテキンやカレーに含まれているクルクミンが予防になるかもと言うことです。

論文は、クルクミンとカテキンがウイルス感染を防ぐ薬を開発するための潜在的な分子として使用できる可能性を示しています。

ちなみに、カテキンがインフルエンザの予防になる事は、すでに以前にも報告1)5)6)があり、またマスコミ等でも取り上げられ、日本人は多くの方が認知している情報です。

実は、もう一つ日本人にはあまり認知されていない触れておきたい情報があります。

それは歯周病菌との関係です。それは、ウイルスが体に入るメカニズムと関係しています。

以下ざっくりご説明します。

ウイルスが体に入るメカニズムとは?

ウイルス4)が人間の身体の表面に付着したとしてもそのままでは増殖できません。通常、皮膚表面には表皮があるので容易には侵入できません。ウイルスが体に入るには、粘膜との出会いがないと入ることができません。また侵入をサポートするものがいます。実はこれが歯周病菌です。

患者さんにも暇があればよく説明しているのですが・・・

ウイルスが粘膜と出会い、その後、人間の体に入るには一般的には2つの方法があります。

ひとつは、細胞の表面に付着し、エンベロープが細胞の細胞膜と融合し、中身だけが細胞の内部に入り込む方法です。

もうひとつは、細胞に食べてもらう方法です。

コロナウイルスでは、コロナ状の部分が細胞表面のレセプターに付着して細胞の中に入り込むようになっています。(前述の方法で体に侵入します)

また、細胞にはエンドサイトーシスという細胞外の物質を細胞内に取り込む働きがあります。樹状細胞やマクロファージはこのエンドサイトーシスにより外部の異物を取り込みます。取り込まれた異物は小胞や食胞と呼ばれるものの中に入ったまま細胞内を移動し、最終的に小胞はリソソームと融合します。

リソソームの中には消化酵素などがあるため通常、異物は分解されてしまいます。しかし、うまく消化を逃れたものは、増殖します。

コロナと粘膜との出会い

出典:プロテアーゼ依存的なコロナウイルス細胞侵入

コロナウイルスが粘膜と出会い、体に侵入するにはプロテアーゼ というタンパク質分解酵素が必要な事はすでにわかっています2)3)

 インフルエンザウイルス等多くのエンベロープウイルスもプロテアーゼを利用するが,プロテアーゼの作用する様式がSARS-CoVとは異なる.インフルエンザウイルスの場合は細胞でウイルスが作られるときエンベロープ糖蛋白(HA)がプロテアーゼに切られ「膜融合誘導可能な形」になるが,SARS-CoVの場合は「細胞侵入の瞬間」にS蛋白が切られて膜融合開始の引き金が引かれる

プロテアーゼ 依存的なコロナウイルス細胞侵入

ウイルス等も巧みないろいろな方法を使って細胞に侵襲するのです。どちらにしてもプロテアーゼ は必要不可欠なものであるのです。

どうしてプロテアーゼ に拘るのか?

当ブログでも再三そのことに触れています。デンタルプラークや歯周ポケットや咽頭部の細菌は、プロテアーゼ やノイラミダーゼ酵素を産生するからです。

私たち人間は、ウイルスを吸着させるレセプターを粘膜に持っていますが、通常は唾液などの糖タンパク質でレセプターを覆い隠しています。

ところが、プロテアーゼ等は、糖タンパク質を溶かしてウイルスを吸着しやすくしてしまうのです。

口腔内細菌は、ウイルスのサポーターになってしまうのです。

口腔内ケアは重要!

マスクや手洗いに意識が向きがちですが、ウイルスが細胞に侵入するメカニズムを一連のプロテアーゼによるウイルスの活性化機構によると考えると、口腔内ケア(適切な歯磨き・衛生士さんによるプロフェッショナルケア)は非常に重要と思われます。

非常事態宣言の次は、「口腔内ケア」です。

これは、新型コロナ対策の愚策ではありません。「口腔内ケア」は立派な非医薬品介入一つです

まとめ

お茶に含まれるカテキンは予防効果があるかもしれない

口腔内ケアも感染予防の非医薬品介入の一つ


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参考文献

1)井出和希. “茶及びその成分を利用した補完代替医療の臨床的展開.” (2016).

2)田口文広, and 松山州徳. “コロナウイルスの細胞侵入機構.” ウイルス 59.2 (2009): 215-222.

3)松山州徳. “プロテアーゼ依存的なコロナウイルス細胞侵入.” ウイルス 61.1 (2011): 109-116.

4)ひと目でわかるウイルスと病気

5)Nakayama, Mikio, et al. “Inhibition of the infectivity of influenza virus by tea polyphenols.” Antiviral research 21.4 (1993): 289-299.

6)Song, Jae-Min, Kwang-Hee Lee, and Baik-Lin Seong. “Antiviral effect of catechins in green tea on influenza virus.” Antiviral research 68.2 (2005): 66-74.

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